カナダメープルファーム訪問記 カナダ オンタリオ州 2014年4月4日~10日

NPO 法人秩父百年の森会員 井原愛子

 秩父からカナダへ・・・
 秩父でメープルを使って秩父を活性化したいと思い立ち、 その中で一番に見てみたいと思ったのがカナダでした。や はりメープルシロップの一大産地であるカナダには、長年 の歴史と技術がたくさん詰まっているし、それをこの目で 見てきたい、色々吸収したいという気持ちで、カナダのメー プルシーズンである 4 月の上旬にカナダ行きを決めました。 またこの時期には、各地でメープルフェスティバルが開催 されており、この時期ならではのイベントを実際見てみた いという事がありました。  今回の旅で訪れたのは、カナダのオンタリオ州です。 カナダ中東部に位置し、州都はトロントになります。メープルシロップの産地としてはケベック州の方が有名ですが、 ケベックに次いでカナダ第2の生産地です。400 以上もの大 小様々なメープルファームがあります。今回オンタリオ州 内のいくつかのメープル農家を事前にインターネットで調 べて伺いました。  予約が必要な所、期間内なら自由に訪問可能な所と様々 でしたが、インターネットで情報を公開しているので、効 率的に様々なメープルファームを訪問できました。ちなみ に私が調べたのはオンタリオメープルシロッププロデュー サーズアソシエーション(OMSPA)というオンタリオ州のメー プルファームの組合組織のウェブサイトです。  http://www.ontariomaple.com  メープル製造技術についての最新の情報発信やイベント 情報の共有などがされており、大変参考になります。

   樹液採取のやり方
 今回訪れた 5 つのメープルファームのうち、チューブシ ステムを使用しているのが 4 カ所、バケツを使用している のが 1 カ所でした。ほとんどのファームがチューブを使用 している事が分かりました。やはり効率と量を考えても、 チューブを使用したやり方が一般的であるようです。ただ 定期的なメンテナンスはやはり必要で、あるファームでは チューブの補修作業に同行させてもらいました。チューブ が途中ではずれてしまっ たり、リスにかじられてし まうことがあるそうなの で、定期的にカエデの森を 巡回してチューブを補修 します。秩父でも今後の樹 液の収穫量の増加と作業 効率アップ・負担の軽減を 考えると、チューブシステ ムの導入が必須だと思い ました。少しずつでも実験 をしながら、秩父でも取り 組んで行きたいと思いま す。

 

メープルシロップ製造方法

カナダで見てきたメープルシロップの製造方法は以下の 通りでした。

 チューブで樹液を採取→タンクに集める→逆浸透膜(R/Oシステム)を使用 して濃縮→蒸発器(エバポレーター)で煮詰める→フィルタープレスを使用 して濾過する→完成

日本との大きな違いは、採れた樹液は即日メープルシロッ プに加工してしまうということです。  たくさん樹液が採れると、一晩中エバポレーターを稼働 させてシロップ作りを行うようです。日本のように、樹液 そのものを使用した商品というのは見当たらず、メープル シロップではなくメープルウォーターで勝負するというこ とが、カナダに対抗する上でとても重要だと感じました。 私が訪れたどこのメープルファームでも、本当に詳しく丁 寧にメープルシロップの出来るまでの行程や機械を見せて くれました。ファームによっては、小学校の社会科見学を 受け入れている所もあって、カナダの主要な輸出商品であ るメープルシロップができるまでの様子を、子供たちの教 育に取り入れているということが印象的でした。カナダ人 にとっても、この時期にメープルファームに行くことは、 環境を考える、食の安全を考える、自然の恵みをもらうと いう特別な行為なのだと思いました。

メープルフェスティバル

 今回の旅のメインの一つであった、カナダでも最大規模 のエルミラメープルフェスティバルに参加しました。50 回目の開催という節目の年に参加できたことは大変ラッ キーでした。そして、普段は静かな町が、この日だけは国 内はもとより海外からも5・6万人もの人たちが押し寄せ るそうです。メープルを使ったお祭りってどういうものな のだろうという期待で胸が膨みました。町の中心部の通り には、メープルシロップを売る屋台、地域の特産物を売る 屋台、その他メープルとは関係ない食べ物の屋台までたく さん並んでいました。一番目を引いたのが、"Maple Taffy" という雪の上に溶かしたメープルシロップを落として固め させ、メープルキャンディーを作るパフォーマンスでした。 海外らしい雑な作り方でしたが、子供たちに大人気で、出 来上がる度にたくさんの列ができていました。行列はなん と他にも出来ていて、それはパンケーキチケットを買い求 める列でした。表参道のパンケーキのような行列には及び ませんが、ここで食べたパンケーキは絶品!特設テントに はボランティアスタッフたちが休む間もなくパンケーキを 焼き続けていました。チケットを渡すと、出来立てのパン ケーキを皿にのせてくれ、続いて別のスタッフがなみなみ と溢れんばかりのメープルシロップをかけてくれました。 テントの中は座る場所もないほど混雑し、席を見つけるの もやっとな状態。外の寒さで身も心も凍えていた所で、パ ンケーキとメープルシロップの甘さ・美味しさが体に染み 渡り、しみじみとこの組み合わせに勝る物はないと感じま した。フェスティバルは他にも、パンケーキ投げ大会、メー プルファームツアー、ライブパフォーマンス、アンティー ク・クラフトショーなど、メープルに関係あるもの、ない もの含めて様々なイベ ントが盛りだくさんで した。  メープルをテーマに したお祭りを秩父で も!ということで、9 月に第1回ちちぶメー プルフェスティバルが開催されましたが、今後も継続して続けて行くことで、カ ナダにも負けない秩父独自のメープルフェスティバルがで きたら、そしてそれを目当てにたくさんの人が訪れるもの にしたいなと考えました。

カナダの旅を終えて

 カナダで実際にメープルファー ムを見てきて、想像以上の規模に 圧倒されました。しかし同時に、 たくさんの可能性も感じました。 それはやはり、カナダでもメープ ルは高級品であるということ、自 然から採れるものだけにその価値 は認められていること、そしてそ れを利用して子供たちへの教育や レクリエーションの場所として、 そして地域を盛り上げるイベント にも利用されているということが よく分かりました。  カナダで見てきたこと、体験し てきたことを秩父でどのように実践していくか?まだまだ 道のりは遠いし、厳しい。けれども、この壮大なチャレン ジに大きなやりがいを感じているし、秩父の森をメープル を活かして生かしていくということ。これからの取り組み に大きな夢と希望をもたらしてくれたのは間違いない。
   チューブ補修作業のお手伝い中。 静かなカエデの森に聞こえるの は樹液が流れる音だけ。

第1回ちちぶメープルフェスティバル  2014 年 9 月 14 日~ 15 日

 秩父映画祭との同時企画と して、第 1 回ちちぶメープル フェスティバルが秩父地域お もてなし観光公社主催、樹液 生産組合、NPO 法人秩父百年 の森、秩父観光土産品協同組 合の共催により、9 月 14・15 日に開催されました。秋の観 光シーズンの幕開けがうかが えるように西武秩父駅仲見世 通りの会場には多くの観光客 や市民が訪れ、秩父の新たな 観光資源である和メープルを 使ったさまざまな商品を楽し んでいただくことができまし た。樹液生産協同組合とNPO 法人秩父百年の森は共同でパ ネルブースを設け、樹液の採 れる様子を説明したり、樹液 を実際に煮詰めるパフォーマ ンスを行いました。カエデに 関するトークイベントやクイ ズも行い、会場を盛り上げま した。また、フェスティバル に先立だって行われたメープルウォーター・レシピ・コン テストでは、カエデの樹液を使ったオリジナル料理の募集 が 7 月 1 日から 8 月 20 日まで実施され、優れた作品に対 して市長賞をはじめとした賞状と賞金がフェスティバル当 日に受賞者たちに贈られました。金賞を受賞したのは新座 市でカフェを経営している三浦さん作の「秩父メープルパ ニーニ」で、当日会場でも販売され好評でした。はじめて のちちぶメープルフェスティバルは、秩父のカエデ樹液の 活用をさらに根づかせ、秩父地域の全体の発展に繋がるこ とが期待できる試みとなりました。

林業のリスタートとカエデの森づくり     森林経営計画の展開

 一昨年から始まった大滝3 林班の森林経営計画では、14 名の所有者との合意の形成、 境界の画定と測量、毎木調査 と選木作業をへて、第 1 期約 6ヘクタールの間伐作業が終 了しました。将来にわたって 残す木がしっかり育つように 間伐が行われました。伐り出 された材木は、製材所やプレ カット工場、工務店などの連 携による新たな木材流通の仕 組みづくりの中で活かされよ うとしています。私たちの組 合はカエデの樹液を通して、山と街の繋がりをつよめてき ましたが、スギやヒノキやサワラなどの木材流通を通して、 新たな山と街が繋がる道を切り拓こうとしています。間伐 された森林は、美しく甦えりました。明るくなったこの森 林にシカ柵を設置し、11 月までにイタヤカエデやイロハモ ミジ約 500 本の植林を予定しています。皆様のご支援とご 協力をよろしくお願いいたします。