秩父樹液生産協同組合は、「本来の秩父の森の姿を取り戻していきたい」という思いから、
森林所有者が中心となって設立しました。
秩父は東京、群馬、長野、山梨と隣接しながら埼玉県の西に位置し、大小さまざまな寺社仏閣のあることから、信仰の里ともいわれています。東京に注ぎ込む荒川の源流はここにあり、およそ500k㎡の森が広がります。
森は広葉樹や針葉樹、高木、低木や下草、動物、昆虫、微生物まで、さまざまな生き物によって構成され、複雑に関係しあってバランスを保っているのが本来の姿です。
例えば、鳥は木の幹や枝に巣をつくり、実や種は動物に食べられて運ばれフンから芽を出し、落ち葉が微生物によって腐葉土になる、というように。
しかし現在の森は、人による乱伐や、その後単一な植生に作り替えられてしまい、原生林の半分近くが、スギ・ヒノキを中心とした人工林で占められています。
秩父の森もその例外ではありません。
秩父樹液生産協同組合は「スギ・ヒノキなどの人工林伐採後、多種多様な広葉樹の苗を植え、本来の秩父の森の姿を取り戻していきたい」という思いから、森林所有者が中心となって設立・活動を開始しました。
日本の林業には課題が山づみです。
日本は国土の3分の2が森林で占められている一方で、林業は担い手の高齢化や経済的な評価の低さから、
持続的な経営が難しいという問題があります。
秩父樹液生産協同組合は、新しい林業のあり方を探求しています。
薬学を研究する大学との共同開発(「キハダ」の効能を活かした「ちちぶもりのめぐみ」ブランド)、採伐のIT化(3Dによる森林計測)。中でも最も力をいれているのが、森の樹液や樹皮の活用による、
森と人が関わり続ける仕組みづくりの林業です。
秩父だけでなく、日本の将来にとって地域経済と紐づくかたちで
林業の再生と地域の活性化の事例のロールモデルとなるべく、日々活動に取り組んでいます。
通産省業省「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に、
秩父樹液生産組合が選定されました。
活動に賛同いただいている方からの言葉
株式会社GNH工房 代表取締役
株式会社GNH工房 代表取締役
大山敏雄様
「文明の前には森林があり、文明の後には砂漠が残る」という言葉を残したのは、フランスの政治家・作家である、フランソワ・ルネ・ド・シャトーブリアンです。われわれ日本人は自然との調和を大切にし、それを基に生活や産業を築いてきました。
しかし、グローバル化が進み、経済至上主義が席巻する昨今、日本の林業は破綻の様相を呈しているように思います。金銭評価が難しい豊かさの質を左右する公共財としての森林と水をどの様に扱うのかが問われています。森林を守り育てるには、そこでの生活が成りたつ(雇用)ことが前提となり、「日本の社会の仕組み」の欠点に手を入れていかねばなりません。「日本の社会の仕組み」に踏み込むのは、今生きている我々自身が時代の変化に合わせて変えなければ、誰かがやってくれる、何処から降ってくるものではないからです。また、問題解決は、生の現場から得られた総意工夫でしか解決できません。机上の空論とは言いませんが、補助金や諸規則などの社会制度設計は本質に触れているのでしょうか。
二十一世紀に入り、地球規模での"パワーシフト"が起きている様に思います。パワーとは軍事力や経済力だけでなく、複合的で多次元的なものを総合してみた時の話しで、時代が大きく変わるときに起きると言われています。東北大震災から価値観のシフトが顕著になってきており、"経済至上主義で利益は自分のポケットに入れるだけ"から"心の豊かさを重視する"価値観への転換が進んでいます。地方は疲弊し、劣化しています。わが国土のおよそ七割は森林です。これまできれいな空気や水を頂けたのは、この森林のおかげです。
一方、GDP寄与率はわずか1%しかありません。秩父樹液生産協同組合の、理念とそれを支えるイノベーションの両輪に支えられている取組みは、まさにパワーシフトに合致し、文明を育み、心の豊かさと自然との調和を図り、自らで問題を解決しようとする、時代の先端的な活動といえます。 樹液を通して森林と水を守り、しかも新しいビジネスの中心的な活動です。樹液からメープルシロップを作り、樹液を料理や加工食品の原料に、また、いわゆる第三のみつ(商標:登録第5639072号)、それを原料とするハニーワインの製造、さらに蜜蝋からのローソク製造等々、新しいビジネスがイノベーションを背景に展開していくでしょう。それは、雇用を創出する活動でもあります。 この秩父森林ビジネスモデルが全国にひろがり、秩父の魅力を高める事とともに、日本の豊かさを高める事に貢献し、さらに全世界に高齢社会の森林ビジネスモデルとして広がっていくと確信しています。
野菜ソムリエ
野菜ソムリエ
牧野悦子様
まだ雪深い2 月。「カエデの森」へ伺いました。初めてみるメー プルシロップの現場に興奮し寒さも忘れるほど。樹液の出る時期、出る量、またその見極めなど詳細にご教授いただきました。長年、足で樹のデータをとり、解析し次年へ活かしてくアナログでデジタルな作業。腰を据えた自然との対話が必要な森の仕事と感じました。樹から出る澄んだ水のように無色透明な液体がメープルシロップになるとはこの時点では到底思えません。
採取地から場所を移し、8 種類の樹液を試飲させていただきました。かすかなフレーバーとほのかな甘みがメープルシロップを感じさせます。「楓からのうまい水」といった感じでしょうか?特別にいただき自宅で煮詰め、舐めてみるとまさにメープルシロップ!絶品でした!自家製ピザにかけて美味しくいただきました。わずかな量になりましたが贅沢な山の恵みを堪能しました。その後のランチでは和メープル特別メニューをいただき、デザートだけでなく肉や魚にも合うことに驚きました。雪山に縁がなかった私ですが、新たな山の食を発見する貴重で素敵な1 日を過ごすことができました。ありがとうございました。
私は野菜ソムリエとして食に携わる職についているので、この「和メープル」と野菜・果物がどうコラボできるか、どう活かしていけるかを探求するのが今後の楽しみです。生産量が上がり森の仕事として、そして、和メープルとして認知され「秩父発のメープルシロップ」として手軽に購入できるようになることを希望します。
秩父樹液生産協同組合では活動内容に共感いただき、応援いただける方を募集しております。
森林の保全と農林業の再生は、わが国の将来にとって大きな課題であるといわれています。ことに林業については、担い手の高齢化や経済的な評価の低さから持続的な経営が難しくなっています。山と里と街の連携によって、国民的な視野のもとに農林業の発展が図られることが望まれています。カエデの樹液の活用は、これまでの林業を見直す契機として期待されています。
私たち秩父樹液生産協同組合は、その試み積極的に担っていきたいと考えております。これから森林を健全に維持し、新たな森林文化を育てるために、多くの皆様のご支援とご協力をお願いいたします。